鋳物加工の特徴と切削加工の難しさ
鋳物とは
鋳物は、溶かした金属を型に流し込んで固める古くからある金属加工法です。自動車部品、工作機械、マンホールの蓋など、幅広い製品に活用されています。
鋳物加工の特徴と利点
鋳物加工の特徴と利点は下記が挙げられます。
⓵複雑形状の実現
鋳造では、一度型を作れば内部が空洞の製品や複雑な形状も少ない工程で製作可能です。切削加工のみでは困難な形状も、鋳造なら比較的容易に製作することが可能です。例えば、曲線のある部品や文字・絵が入ったマンホールの蓋、デザイン性の高い車のアルミホイールなども鋳造加工で製作することが可能です。
②高い生産効率
鋳造は工程がシンプルで、同じ型を繰り返し使用できるため、大量生産に適しているという特徴があります。これにより、時間とコストを抑えられる大きな利点があります。高い生産性と一貫した品質の製品を効率よく製造できることが鋳造加工の大きな特徴となります。
③材料の多様性
鋳造加工は、鋳鉄、銅合金、チタン合金、アルミニウム合金など、様々な金属材料に対応可能です。この多様性により、製品の特性に応じて最適な材料を選択できます。例えば、軽量化が必要な場合はアルミニウム合金を、強度が求められる場合は鋳鉄を使用するなど、用途に合わせた材料選択が可能です。
なぜ鋳物に切削加工をするのか
鋳造の性質上、表面品質を求められる場合には鋳造だけでは不充分な場合があります。下記のような場合は、鋳造だけでは達成できない品質や機能を実現するため、鋳物に切削加工を施します。
⓵寸法精度の向上
鋳造過程で金属が冷却・固化する際に収縮や変形が生じるため、最終的な寸法精度が低下することがあります。そのため、高い寸法精度を要求されるようなものは切削加工を行います。特に、他の部品と接合する面や重要な機能を持つ箇所では、ミクロン単位の精度が要求されることもあり、切削加工が不可欠となります
②表面品質の改善
鋳造のみでは、製品表面に凹凸や鋳肌と呼ばれる粗い仕上がりが残ることがあります。切削加工を施すことで、表面を滑らかに仕上げ、要求される表面粗さや光沢を実現できます。例えば、摩擦を低減させたい摺動面や、高い耐食性が必要な表面などでは、切削加工による表面品質の向上を行います。
③組立性の向上
鋳物製品は多くの場合、他の部品と組み合わせて使用されます。そのため、組立時の適合性を高めるために切削加工により、嵌め合い部分の寸法を正確に仕上げたり、ボルト穴やねじ穴を加工したりすることで、スムーズな組立てができるようにします。
また、複数の部品を組み合わせる際の位置決め精度も向上し、製品全体の性能や信頼性の向上につながります。
鋳物の切削加工に高い技術を必要とする理由
鋳物には切削加工を必要とする場合が多いですが、下記のような理由から高い技術が要求されます。
⓵専用治具の必要性
鋳物もしくは鋳物切削加工では、ワークを安定して固定するための専用治具が必須となります。この治具は、鋳物の複雑な形状や不規則な表面に対応する必要があるため、一般的な治具では対応できません。小ロット生産であっても専用治具の製作が必要となるため、イニシャルコストが高くなるという課題もあります。さらに、治具の設計・製作には高度なノウハウが必要で、鋳物の特性や加工方法を熟知した技術者が求められ、この専門性の高さが、鋳物加工を難しくする一因となっています。
②材料特性への対応
鋳物は製造過程で収縮や変形が生じるため、最終製品の寸法を正確に予測することが難しいです。そのため、鋳物の特性に合わせた寸法で木型(模型)を製作する必要があります。
また、鋳物の材質によって硬度や脆さが異なるため、それぞれの特性に合わせた切削条件(切削速度、送り速度、切込み量など)を設定する必要があり、鋳物もしくは鋳物切削加工の難易度を高めています。
③切粉対策
鋳物の切削加工時に発生する切粉は、通常の金属加工と比べて、鋳物の切粉が細かく、粉塵として飛散しやすいため、様々な問題に繋がる場合があります。例えば、切粉が機械の隙間に入り込むと、工作機械の摩耗や故障の原因となります。
また作業者が吸入することで健康被害を引き起こす可能性があること、切粉が加工面に付着することで、精度や表面品質に影響を与える可能性などが考えられます。そのため、換気設備などを整える必要がある点も、鋳物の切削加工を難しくしています。
当社の鋳物加工の特徴をご紹介
当社の鋳物加工の特徴を3つご紹介します。
⓵図面がなくても、現品から部品を製作いたします。
FUSO機械加工センターでは図面がない部品についても製作を承ります。現品の測定、作図から加工まですべて自社内で一貫対応。メーカーの生産終了部品や調達困難な海外メーカー部品の代替品製作も多数実績としてございます。金型メーカーだからこそできる柔軟かつ高品質な加工サービスです。
②鋳造、異形状部品の追加工のみでもお気軽にご依頼ください
異形状部品の加工や鋳物等の機械加工・追加工のみの加工依頼は、多くの加工会社から敬遠されがちな依頼です。FUSO機械加工センターでは鋳造上がりの半加工品、穴あけ等の追加工のみのご依頼でも承ります。治具等を社内で柔軟に用意できる金型メーカーならではの加工サービスです。
③鋳造から一貫してご依頼いただけます
FUSO機械加工センターではグループ会社に鋳造工場を保有しており、鋳造からご依頼いただけます。また自社工場で鋳造できない大型鋳造品についても関係協力会社を通して鋳造品から調達致します。お客様の手配工数を大きく削減することが可能ですのでぜひ鋳造品の製作からお気軽にご相談ください。
当社の鋳物加工の事例をご紹介
事例1 門型マシニングでの大型薄肉ワーク加工
こちらはガラス成形装置のケーシング部品の事例です。大型サイズの製品であるため、門型機械での加工を実施しました。当社にて門型加工機を保有しているため、一貫対応が可能となっています。薄肉である製品ですが当社の豊富な実績と経験に基づいて変形しやすい製品でも加工いたします。
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事例2 組付け用定盤
こちらは、製品組立時に部品を固定させるための定盤です。任意のタップ穴を設けられるため、組付けしやすいレイアウトにて製作が可能です。また、組付け時の仮止めの際に固定できるような設計の定盤も製作可能です。組立製品のサイズや形状に合わせて、最適なものを製作いたします。1mx1.5mサイズの定盤なども製作の実績がございます。それ以外のサイズについてもご提案が可能です。
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事例3 機械のカム部品
こちらは機械部品のカムです。滑らかな機械形状であり、カムの面形状で機械軸を上下させるものですが、円形状だけでなく曲線形状も対応可能です。対応する機械の仕様や形状に対して設計・製作が可能です。またサイズについても1m程度まで製作が可能となっております。
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鋳物加工に関することなら、FUSO機械加工センターにご相談ください!
当社では、高精度な加工から1~10mクラスの中・大型加工まで1品から機械加工をお受けいたします。鋳物や特殊鋼部品まで広く対応いたしますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
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